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●かぶりとそのしくみ -そして対策-

湿気の多い日にエアブラシ塗装をすると、白く滲んだしみが付いてしまう事があります。
この現象を「かぶり」といいます。

真っ黒だったパーツが真っ白になってしまった。

かぶりの原因は2つあります。
 1つはフラットベースの吹きすぎによる「かぶり」
 もう1つは細かい水滴による「かぶり」です。

どちらも原理は同じです。


●フラットベースによるかぶり

光沢とつや消しの項で述べたように、つや消し塗料には表面をデコボコにするための大き目の粒子フラットベースが入っています。
このフラットベース、よくかき混ぜて使えば問題ないのですが、かき混ぜ不十分だったり、樹脂に対してフラットベースの量が多すぎたりすると塗装面が白く濁ってしまいます。

実際にフラットベースの瓶の中を覗いてみる・・・と

透明色のクリアー(光沢)に比べてつや消しクリアーはフラットベースが入っている為白く濁っている。

つや消し塗料、特に「スーパークリアーツヤ消し」を吹いたとき、塗料が濃すぎたり攪拌不十分だったりすると、フラットベースが一箇所に固まってより大きな塊になってしまいます。
そしてこの部分が白くなってしまいます。

イメージ図

フラットベースが均一に分布された理想的なつや消し フラットベースが1箇所に固まってしまった

対策としては
 ・よくかき混ぜること
 ・一気に塗らないで、回数を何度かに分けて薄吹きする事
これを守っていれば白くなる事はまずありません。
まぁ普通に塗装していれば大丈夫でしょう。


●湿気によるかぶり

湿気の多い時にエアブラシ塗装をすると、先に述べたフラットベースかぶりと同じような現象が起こってしまいます。
では何故湿気が多い時に「かぶり」現象がおきてしまうのでしょうか?

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塗料はエアブラシで吹く時は当然液体になっております。

そして液体状の塗料をブラシでパーツに霧状にして吹きかけると、パーツに液体状の塗料が薄く付着します。

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やがてシンナーが蒸発して塗料が固体に固まります。

液体が気体になるには熱エネルギーが必要なので、このシンナーが蒸発する時パーツは気化熱を奪われて周りの温度より冷えてしまいます。
(消毒用アルコールを腕に塗った時にひやっとするのと同じ現象)

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その時に湿度が高いと空気中の水蒸気が冷やされて液体に戻り(結露)、細かい霧状の水滴になります。(夏に冷蔵庫から冷えたビール瓶を出した時に水滴が付いたり、寒い時に息を吐くと白く見えたりするのと同じ現象ですね)

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その水分がパーツに付いてしまい、塗料にしみ込んでにじみとなってしまう。

これが湿気によるかぶりの原理です。

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私は湿度計でわざわざ湿度を計って塗装をした事がありませんので、具体的に「湿度がこの値以上の日は駄目だ」という ことは言えません。
とりあえずの対策としては湿度の高い日、つまり雨が降っている日には塗装をしない事。ずばりこれですね。 雨が降っている夏の日などは温度が高くて湿度も高いので完全にアウトですね。梅雨時はかなり塗装のしづらい季節です。


●スパクリつや消しは晴れた日に吹け

上記の2つのかぶり条件が重複する、「湿気の多い日」に「フラットベースが含まれたツヤ消し塗料を吹く」という行為はこの上なく危険です。
私の経験上では雨の日はつや消し塗料をかなり薄めて吹いてみても白く濁ってしまいました。


●湿気でかぶるのは非水性塗料のみ


水性塗料のアクリル塗料なら水と溶け合うので湿気の多い日に吹いても大丈夫です。
アクリル塗料の長所の1つですね。


以上で「湿気と模型」講座は終わりです。

書いた日:2002年9月
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