>  > -その特徴- まずウレタンクリアとはどんなんですか?

光沢塗装の際、より光沢度を上げるのに大変便利な2液性ウレタンクリアーについてのコーナーです。

2液性ウレタン塗料はラッカー塗料とはちょっと違った性質を持っています。一体どんな塗料なのでしょうか。まずはその特徴をまとめてみます。


●その特徴

 1 塗膜がとても強い
 2 下地を侵しにくい
 3 化学反応で固まる
 4 一度固まると溶けにくい
 5 乾燥時間が長いんだか短いんだか…

私が使ってみて感じた事を以上の5項目にまとめてみました。
1つずつ見ていきましょう。


●その1 塗膜がとても強い

ウレタンはラッカーよりも塗装面の強度が強い。よって携帯電話やキーホルダーみたいな手でベタベタ触る物を塗装する場合はウレタンでコートした方が良いかも。


●その2 下地を侵しにくい

ウレタンって下地をかなり侵しそうなイメージがあったんですが、実は全く逆で、ラッカーよりは下地に優しいです。ラッカーよりもウレタンの方がはるかにデカールを侵しにくかったです。
というかウレタンが下地に優しいというよりも、ラッカーが下地に厳しいと言った方が良いかも。(これに関してはこちらで詳しく書きました。)


●その3 化学反応で固まる

ウレタンは2液を混ぜる事により化学反応で硬化します。ラッカーやエナメルのように溶剤の揮発で固まる塗料とは根本的に違うわけですね。

どういう違いがあるかと言うと、例えば硬化前に表面を触って指紋を付けてもウレタンの場合は消えます。ラッカーのような揮発性塗料の場合は外気に触れる表面から乾燥が始まるので、表面に指紋を付けたら最後まで消えませんが、ウレタンの場合は内部から固まっていき表面は一番最後にかたまるので、固まったら表面の指紋が綺麗に消えます。不思議だ!

硬化前にホコリが乗ってしまったとしても爪楊枝でほじくり返してOKです。さすがにそこまで大きな傷を付けてしまったら消えない場合もあるので、その際は上からもう一度ウレタンを重ねた方が良いかもしれないけどね。


●その4 一度固まると溶けにくい

ラッカーはカチカチに固まってもシンナーで溶かすことができるんだけど、ウレタンはラッカーよりも溶けづらいです。溶けづらいだけであって、シンナーに漬ければウレタンは溶けます。ラッカーシンナーでも溶かす事ができます。(これに関しては実験コーナー1で。)

まずそれによる長所から。
デカールの上からクリア吹きをする場合、ブラシを遠ざけて砂吹きを軽く2〜3回やって薄い塗膜を作ってから本格的に吹くというやり方をやります。ラッカーの場合、本吹きの時にあまりドバっと吹くと、砂吹きして作った1層目2層目を溶かして結局下地を侵してしまう事があります。
これに対しウレタンは一度固まればなかなか溶けにくいので、本吹きの際に砂吹き層を侵す心配が無いです。これが良い点。

短所となると、悪い点はウレタン使用後はエアブラシをしっかり掃除しないと固まって大変という事でしょうか。シンナー漬けにすれば溶かす事ができるので、そんなに怖がる事もないのですが。(でも溶かしてもドロドロになるから掃除はしづらい。)


●その5 乾燥時間が長いんだか短いんだか…

ウレタンと言えば乾燥時間が長いというイメージがあります。20℃では32時間で完全硬化だそうで確かに長いです。でもまぁこのウレタンの32時間というのも"完全硬化"までの時間であって、実際は3〜4時間で手で触れるくらいに固まるんだけどね。
それにしてラッカーに比べて確かに硬化までの時間は長いわけです。ラッカーなんて1,2分で固まるわけだし。

でもこれは、普通に薄く塗装した場合の話。塗膜が、いわゆる「研ぎ出し可能」な厚さになるまで吹き重ねると、ラッカーの場合完全乾燥までに1週間〜2週間必要です(カーモデルの場合は1週間待つとかよく言いますね)。ラッカーはシンナーの揮発により固まるので、薄吹きの場合なら即乾燥しますが、厚吹きの場合は外気に触れない内部がなかなか完全乾燥しません。
これに対しウレタンは化学反応で内部から硬化するので、厚吹きでも一定時間で完全に硬化します。厚吹きする時はウレタンの方が圧倒的に硬化が速いわけですね。私は1週間も待てないです。

造形をした事がある人なら分かると思うのですが、これはファンド(紙粘土)とエポキシパテの違いと全く同じです。薄く少しずつ盛り付けて使うならファンドはすぐに乾燥していきますが、いきなりファンドで大きな塊を作ってしまうとなかなか内部まで乾燥せずに困ってしまいます。
それに対してエポキシパテならどんな大きさに盛り付けても一定時間で固まってくれるわけです。

ラッカー塗料でも少しずつ吹きつけ→乾燥させ→吹きつけを繰り返していけば比較的短時間で研ぎ出し可能な厚さまで塗り重ねる事が可能です。手間はかかってしまうけどね。
ウレタンなら何も考えずに厚吹きしても数時間で固まってくれるわけです。


●もう1つ・・・

あともう1つ大事な事ですが、塗装面がとても綺麗になるというのがあります。あの濡れたようなツヤは、上手な人ならラッカーでも出すことは可能ですが、ウレタンなら私なんかでも簡単に出すことができると。これはとても大事ですね。


●まとめ

特徴に関しては以上です。
私の場合、何でウレタン使うようになったかと言うと、上にも書いたけど研ぎ出しするのに1週間も待てないというのが1つ。
もう1つは、フラッシュシルバーのインクで印刷したデカールをクリアコートする為に色々試した結果ウレタンに落ち着いた事。(フラッシュシルバーのコートについては気が向いたら書くかもしれません)

そんなウレタンにも問題点が多々あり。
例えば体に悪い。換気はしっかりやって、必ずマスクを付ける事。
それから原液のまま吹くには高圧が欲しいという点もあります。

書いた日:2007年9月

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