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●ヒケとそのしくみ

まずヒケとは何でしょう?
例えばこんな四角い形のプラスチックを成型するとします。

溶かしたプラを金型に流し込んだ時はちゃんと型通りの四角い形になっても・・・


射出後はこんな風にパーツがちょっと凝縮してしまいます。
(この絵は少し大げさではありますが、)この事をヒケるといいます。
プラスチックというものはこうなってしまうものだからこれは仕方ありません。

プラモデルのパーツの場合はこのヒケ現象が起こらないように厚さ約1mm均一で薄く成型されております。

これだけ薄ければまずヒケる事はありません。

ところが裏側に強度を保つ為のリブや、(スナップフィットキットの場合の)ピンがある箇所はパーツがそこだけ他の箇所より厚くなってしまいます。

その結果ヒケが出てしまうのです。


●ヒケの見つけ方

大きなヒケは光を当ててみればわかります。…が、パーツの成型色によっては見つけにくい場合もあります。
そんな時はペーパー掛けすればヒケが見つかります。ヒケてる部分はへっこんでるのでペーパーで磨いても色が変わらないので一発でわかります。
小さなヒケはペーパーかけているうちに消えるのでとりあえずペーパー掛けすればOKです。


ペーパー掛けしたらヒケてる箇所が見えてきました。


裏を見てみるとやっぱりピンがありました。


●ヒケの処理方法

小さいヒケならペーパーで磨いているうちに消えるのですが、大きいヒケを完全に消すまで磨いているとパーツが薄くなったり変形したりしてしまいます。
そこで大きめのヒケを消す場合は溶きパテ(ラッカーパテをシンナーで薄めたもの 詳しくは後述)を使います。


ヒケがある部分にこのように溶きパテを塗ります。


そんで十分乾燥させてから磨いてやれば終わりです。

注意
ラッカーパテもヒケます。
ラッカーパテというものはシンナーが揮発する事によって固まるのですが、乾燥が不十分な状態のうちに削ってしまっても、そこからさらに収縮する事があります。(合わせ目消しの項の”ヒケの恐怖”で書いたプラセメントと同じです。)
しかしながら、今回の様に薄く塗った場合ならすぐに完全乾燥するので、それほど気にしないでも良いでしょう。


●ヒケの見つけ方

溶きパテを作るのは簡単です。
用意するのはまずこのラッカーパテ(プラパテ)

(それにしても、随分使い古しているパテだなぁ。もっと良い状態の物は無かったのかい!)

こいつを塗料皿にうにゅっと出します。

いちいち塗料皿使うと掃除するのが面倒なので、お弁当用のギザギザ銀紙やガムテープの裏を使って使い捨てた方が手頃で良いかもね。

ここにスポイトで適量のシンナーを加え

爪楊枝などでよくかきまぜてから安い筆でパーツに塗ってやりましょう。
ヒケてる箇所がよくわからなかったら、とりあえず片っ端から筆で溶きパテを塗りつけるなんてのも良いかもしれません。私もよくそうしております。

はじめから薄まっている「溶きパテ」という商品も売っていますが、私的には市販の「溶きパテ」はちょっと水分(シンナー分)が多すぎるような気がするので使ってません。ここらへんは個人の好みの問題ですが。

でもホワイト溶きパテは白い色だから、下地を均一の色のままでヒケを埋めることができるので便利です。赤いパーツの場合なら赤の塗料を加えれば赤色パテになります。
まぁ今回のガンダムのように後でサフを吹く場合は白だろうが灰色だろうが関係ないのですが、サフ無しでやる場合はかなり役に立ちます。


ヒケ処理というのはやってもそれほど目立って良くなるものではありませんが、やらないとかなり見かけが悪くなってしまうという厄介なものなのです。実物さながらのリアルな自動車模型や飛行機模型でも、ヒケが見えただけで一気にオモチャっぽくなってしまうので注意しましょう。

つや消し仕上げならヒケもそれほど目立たないので手を抜いても何とかなりますが、光沢テカテカに仕上げる場合はヒケ等の表面状況は思いっきり目立ちますので、しっかり処理しておきましょう。


おまけ:モデラーというものは家電製品のヒケも気になってしまうものである。
(写真はゲーム機のNINTENDO64)

最初に書いた日:2002年9月

ヒケの処理も終わったし、そろそろサーフェイサーを吹きたい気分ですが、その前にもう少し作業をします。
次は「エッジ処理」です

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