●モールドに色をつける
スミ入れとは各パーツのモールドを暗い色で塗り、パネルラインをクッキリさせることによって全体を引き締める作業です。
実際の飛行機のパネルラインや自動車のドアの境目がはたして暗くなっているのかというツッコミもありますが、これは縮小された模型なりのディフォルメ表現だと考えましょう。
左がスミ入れ前で、右がスミ入れ後。
スミ入れによってパーツにメリハリがつきます。
●使うのはエナメル塗料
スミ入れにはエナメル塗料を使います。
エナメル塗料を専用シンナーで充分薄めてから筆でモールドに流し込みます。
●その前にまずエナメル塗料を知る
スミ入れにはエナメル塗料を使うのがベストなのですが、なぜエナメルを使うのでしょうか?他の塗料では駄目なんでしょうか?まずはエナメル塗料の性質から見ていきましょう。
■拭き取りが可能
模型屋の塗料売り場などでもよく見かける重ね塗り表。
下\上 | ラッカー | アクリル | エナメル |
ラッカー | ○ | ○ | ◎ |
アクリル | × | ○ | ○ |
エナメル | × | ○ | ○ |
この表を見てもわかるように、ラッカー塗膜の上に塗り重ねた時に、最も下地に影響を与えないのがエナメル塗料です。エナメル塗料はもし失敗してしまっても、エナメルシンナーできれいに拭き取る事が可能です。
アクリル塗料では拭き取りは無理です。
■流れやすい
エナメルシンナーは浸透性抜群でサラサラで、溝をススっと流れていきます。だから薄めたエナメル塗料はまさにスミ入れ向きの塗料ですね。
ただし、その浸透性は恐るべきもので、パーツの小さな傷から内部に入り込み、パーツを破壊してしまう事もあります。よく「エナメルでパーツが割れた」という話を聞きますが、それはこの浸透性の為です。力のかかる間接部にはエナメルを使わない方が無難です。そういう箇所にスミ入れしなければならない場合は充分注意しながらやりましょう。
●それではスミ入れしてみよう
おっと、その前に再確認ですが、パーツの表面は「ツヤ有り」塗装のツルツル表面になっているでしょうか?エアブラシ塗装後には光沢クリアをシュっと吹くのを忘れずに!
つや消しザラザラ表面だとスミ入れが滲んでしまい、きれいに拭き取る事ができなくなってしまうので注意です。
さて、そんじゃスミ入れしてみましょ。
まずは塗料皿にチョビっとエナメル塗料を出し、スポイトでシンナーを加え、かき混ぜます。
流し込むわけだから、濃度はかなり薄めにします。濃いと流れないぞ。
その塗料を筆につけ、筆でモールドに流し込みます。
「書く」のではなく「流す」です。筆は一点に当てるだけで動かす必要はありません。
ちゅるちゅると流れていきます。なかなか面白い。
当然筆を当てていた所はエナメル塗料がはみ出ますが、そのままでしばらく待ちます
乾燥したらティッシュの先にエナメル用シンナーをつけて拭き取ります。
おわりです。
●何色を使うか?
スミ入れに何色を使うのかというのはそれぞれ個人の趣味ですが、基本的にはパーツの色よりちょっと暗い色を使います。
白いパーツには…XF24ダークグレイ
赤いパーツには…XF9ハルレッド、X9ブラウン
青いパーツには…XF17シーブルー
黄色いパーツには…XF60ダークイエロー
とりあえず私は基本的にはこの色を使っております。
上に出した例は単色ですが、もちろん「X4ブルー」に「X1ブラック」を混ぜて暗い青を作るのもOKです。
●黒いパーツには?
ここでちと難しい問題なのですが、黒いパーツには何色でスミ入れするべきでしょうか?う〜む、これは難しい・・・。
私の場合は黒パーツには逆に明るめの色を、つまりグレーを使うというケースが多いです。私はシルバーを使ってみたりもします。「黒にはスミ入れの必要なし」という漢らしい決断もそれはそれでアリかも。
スミ入れはそれほど難しい作業ではありません。
でも、モールドが甘いキットの場合、スムーズに塗料が流れてくれない事もあります。そんなキットの場合はスジを彫り直してあげると綺麗にスミ入れすることができます。
次は「ちょこっと筆塗り」です