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●コンプレッサーが水を噴くのはなぜ? -水抜き機のお仕事-

湿気の多い夏などはコンプレッサーが水を噴く時があります。
 
それを防ぐのがこの写真の水抜き機(レギュレーターに付いてる)の役目なんですが、何でこんな物を付ける必要があるのでしょうか?そもそもどうしてコンプレッサー内に水が溜まってしまうのでしょうか?
今回はそれを考えてみましょう。


●ますはコンプレッサーのしくみ


コンプレッサーに繋いだハンドピースの噴射口を開く事によって圧縮させた空気を勢いよく噴き出すのがエアブラシの仕組みです。
水道にホース繋いでお庭に水まくのと同じですね。


●では何でコンプレッサーに水が溜まるの?

まず答えをいきなり言ってしまいましょう。
コンプレッサーに水が溜まるのはズバリ、空気を圧縮しているからです。
ではなんで空気を圧縮すると水滴が出てくるのでしょうか?
今度はこれを考えていきます。


●体積が小さくなると圧力は増す

その前に知りましょう。物体は圧縮されると・・・つまり体積が減ると圧力が高くなります。
有名な式があります。
  PV=一定
つまり圧力Pと体積Vの関係は反比例の関係なんですね。

わかりやすい例 しぼんだ風船。
パンパンに膨らせた風船もしばらく放って置くと空気が抜けてしぼんでしわしわになりますね。

左のしぼんだ風船は体積は大きいけれど圧力が小さい状態です。この風船を右のようにに体型をしぼってあげるとパンパンに硬くなりますこれが体積を小さくして圧力を大きくした状態です。
こんなわけで、つまり体積が小さくなると・・つまり圧縮されると圧力が増すわけなんです。


●コンプレッサーに水が溜まるしくみ

さて話をコンプレッサーに戻しましょう。 コンプレッサーは空気を圧縮させる機械でした。
だからコンプレッサー内の空気は圧力が増してるわけです。
当然空気の中に含まれる水蒸気の蒸気圧も外の状態より増しております。

そこで前回の飽和蒸気圧の事を踏まえた上で考えてみます。
20℃の水の飽和蒸気圧を(正確な値は知りません)20mmHgとします。
この日の湿度は50%だとすると空気中の水蒸気の蒸気圧は10mmHgです。
コンプレッサーに吸い込まれて圧縮された水蒸気は体積が3分の1になったとしましょう。
すると蒸気圧は3倍になるので30mmHgになります。

ここで水蒸気くん達の会話を見てみましょう。

圧縮されて圧力が増したので飽和蒸気圧の値を超えてしまいました。

あわてて一部の水蒸気が液体、つまり水に戻ります。
このような原理でコンプレッサーの中に水が溜まってしまうわけなのです。


●そこで水抜き機

このままではコンプレッサーが空気と一緒に水を吐き出してしまうので、吐き出す空気の中から水滴を取り除くのが水抜き機のお仕事なのです。

当然湿気の高い夏は水抜き機に水が溜まりやすく、冬はあまり溜まりません。
ラッカー系など非水性塗料のなかに水滴が混じってしまうとエライ事になってしまうので、みなさん水抜き機は必ずつけましょう。


特に夏は… ほれ、ちょっと吹いただけでこんなに溜まってしまうんです。


次は「かぶりのしくみ

書いた日:2002年8月
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