>  > モールド彫り2

「モールド彫り」の項を書いた頃はケガキ針をメインに使っていたのですが、最近はケガキ針でちょっと彫ってからスジ彫り用ナイフで本格的に深く彫るようにしております。以前書いた物とは違うやり方で現在はやっているので、最新バージョンを書くことにします。


●道具


上から石川ナイフ(私が勝手に命名)、自作のケガキ針、アートナイフ。主に使うのはこの3つですね。

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石川ナイフ(勝手に命名)
石川ナイフってのはホビージャパンライターの石川雅夫氏が考案されたスジ彫りナイフです。時々ワンフェスやC3で石川さんが自らパール塗料なんかと一緒に販売しています。私もそこで買ってきました。(確か1000円だったかな)
ホビージャパン2001年10月号のP67に詳細が載ってますんで、持ってる方はそちらを参考にしてください。


こんな風に2枚のデザインナイフの間にカミソリの刃が挟まってます。先っぽちょっと折れてしまったので作り直そうかなぁ。


厚さ0.1mmだそうでとても細いですね。

この石川ナイフ、とにかく便利なアイテムでして、私にとって細く深く彫るにはなくてはならない存在になっています。

(後日追記)
この石川ナイフは雲母堂本舗から「ライナーソー」「ライナーチズル」として発売されたようです。模型店でも扱っていますし、通販でも買えるようです。

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自作ケガキ針
金属定規等をガイドにこれで軽くなぞって引っかき傷を付けていきます。引っかきがある程度の深さになったら石川ナイフで本格的に彫り始めます。作り方はこちら。

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アートナイフ
ご存知OLFAの切れ味抜群ナイフ。あの黄色いやつですね。
ケガキ針というのは引っかいて彫っていく道具なので、スチロール樹脂(いわゆるプラ)は綺麗に彫れるんですが、素材によっては上手く彫れない場合もあります。


よくあるのはこのような「パテで○ミリ延長」したような場合。パテとプラとの複合素材になってまして、ケガキ針だとパテとプラの境目の箇所がめくれてしまったりしてしまいます。
こんな場合はアートナイフで切るように彫っていけばこのような複合素材の箇所も綺麗に彫る(というか切る)ことができます。


●おまけ話 「本当の分割線」と「ただの線」

ついでにモールドについて私の考えを書きます。主流とちょっと外れた異端の考えかもしれないので、世の中にはこんな風に考えてるやつもいるんだな程度に思ってください。

モールドに墨入れすることによってパネルラインを灰色などの暗い色の線で表現することができますが、これはあくまで「線」であって、「パネルとパネルの間の隙間」にはなかなか見えません。どっちかと言うと墨入れ表現は鉛筆やマジックで書いた線の類ですね。

もちろん、1/100スケールの模型に0.1mm幅のモールドを彫ったところで100倍したら1cm幅にもなってしまうので、ここら辺は模型としての表現の嘘が必要になります。しかしながら、デフォルメ表現された模型の枠の中で考えても、別パーツ化されていて「本当に割れている箇所」とモールドに墨入れした「ただの線の箇所」が混在して不自然な状態になってしまう事があります。

それが特に目立つ例を挙げていきます。本当は絵で見るより写真(さらに言うなら実物)で例を挙げるのが一番なのですが、とりあえずわかりやすく絵で書きます。


例えばこんな分割になっているパーツ。


組み合わせるとこうなるんですが、右側の縦線は本当の「分割線」。対して左側の線はただの「暗い色の線」。
絵では上手く表現できないけれど、こういうのは明らかに違和感がありますし、右側で別パーツになっていたのがバレバレです。


次はこんなパーツ。右側のドアだけ開くギミックがありますが、左側のドアは開閉ギミックが無くただのモールドで表現されています。


これも違和感ありますね。右のドアは開きそうだけど左は絵だな。


最近のMGはパーツ分割が多くなってきていますが せっかくアールが繋がるように設計されていても、「本当の分割線」が途中から「ただの線」になってしまって連続性がなくなってしまいます。

ではどうすれば良いかとなると、モールドを深く彫るという事になります。どんくらい深く彫るのかと言うと、「パーツをブチ抜くくらい」です。それだけ深く彫れば本当に分割されているように見せることも可能です。

深く彫ると墨入れしても底が深すぎるため、墨入れによる色の変化がわからなくなってしまいます。つまり墨入れしても意味がない状態になってまうのですが、これが理想の形だと私は思っております。
そういったモールドは写真ではわかりづらい為、写真栄えが少し悪くなってしまうという問題点もあるんですが。

書いた日:2004年8月
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