>  > クリアデカールの黄変

自作デカール用のクリアデカールという商品がある。
10年以上前に作ったプラモに貼った自作デカールは思いっきり黄色くなってしまった。何が悪かったのだろうか。黄変を防ぐにはどうしたら良いのだろうかという話。

まずは結論から
デカールフィルムという物は透明樹脂なので時間が経つと黄変する
クリア塗料でしっかりコートすることで黄ばみを防止する事ができる。
各メーカーがクリアデカールを出しているが、商品によって黄変しやすさに差があるかどうかは不明である。
黄ばんだデカールは日光に当てることで黄ばみを取ることが出来る。


●各社のクリアデカールについて


ウェーブの「クリアデカール」は2006年に「NEWクリアデカール」と商品名が変わり、品質も変化したらしい。2016年現在は当然この「NEW」の方が販売されている。(写真左が旧版で右が「NEW」)


ウェーブの他にもファインモールドやハイキューパーツからもクリアデカールが発売されている。


●黄変した写真
実際に私の手元にある黄変した模型を見ていこう。
以下の写真は全て2016年に撮影した写真である。


さて、これは2002年に製作したガンキャノン。ウェーブ旧「クリアデカール」を貼った。
白い箇所に貼ったので、デカールの黄ばみがとても目立ちます。


あぁこりゃ酷い。



このガンダムは2003年製作。ウェーブ旧を使用。


やはり白パーツは黄ばみが目立つが、青パーツだと黄ばみは分からないようだ。



2002年製作。ウェーブ旧を使用。
これも酷い。



2003年製作。ウェーブ旧を使用。
同じ「クリアデカール」を使ったはずなのに不思議な事にこれは全く黄ばんでいないのだ。これはもしかしたらデカールをクリア塗料で厚くコーティングした事が原因なのではなかろうか。
このフィギュアが手に持っている紙袋はラミネート加工された紙袋ということで、光沢クリアを吹いてテカテカにしたのだが、思わぬ副次的効果があったようだ。


2004年製作。サザビンラディンのおまる師。ウェーブ旧を使用。
これは特に黄ばみがすごい。黄色というより茶色になっている。たしかこれはデカールを貼っただけで、上からクリアコーティングをしなかったような記憶がある。やはりコーティングすることで黄ばみ防止につながるという事なのだろうか。



2005年製作。ウェーブ旧を使用。
これは黄ばみが確認できない。ウレタンクリアーでデカールの段差がわからないくらい厚くコートしたことが原因だろうか。



2005年製作。ウェーブ旧を使用。
これもウレタンで厚くコートしてるので、黄ばみは無し。


 
2008年製作。ウェーブ旧を使用。
薄くつや消しでコートしただけなのだが、黄ばみは確認できない。
この頃からクリアデカールの品質が変わったのだろうか。

このスカートの部分も黄ばみ無し。



2010年製作。ウェーブ旧を使用。
軽くつや消しを吹いただけだが、黄ばみ確認できず。

これ以降に製作した模型も変色無し。
やはり2002〜2005年頃に購入したクリアデカールがヤバかっただけなのだろうか?それともその頃の私はデカールをちゃんとクリア塗料でコートしなかったのだろうか?


●日光に当てると黄ばみが取れる


左写真の「おまる師」は日光が当たらなかった側、右写真の「たりばん」は日光が当たり続けた側。
日光に当てたことで明らかに黄ばみ(というより茶色味)が取れた。冬の日差しに2週間程当て続けたのだが、ここまで茶色くなってしまうと完全に黄ばみを取るのは無理なのかもしれない。


大昔に印刷したデカールの余ったもの。試しに一部を切り取って日光に当て続けてみた。写真ではちょっと分かりづらいかもしれないが、日光に当てた切れ端は明らかに黄ばみが取れている。他の箇所は台紙の水色が黄ばんで見えていたのだが、切れ端部分は黄ばみが取れて澄んだ水色になっている。


●各製品間で黄ばみの差はあるのか実験してみる


これらは同じウェーブの「クリアデカール」なのだが、販売時期によって微妙に台紙の色が違う。デカールフィルムの質も色々変わったのだろうか。

経年変化の試験をしてみる。

(このサンプルを作成したのは2016年11月、写真を撮影したのも同じく2016年11月)
ハイキューパーツ「クリアデカールTH」、ファインモールド「クリアデカール」、ウェーブ「NEWクリアデカール」、各時期の旧「クリアデカール」を3枚のプラ板に貼った。それぞれのプラ板は「貼っただけでコート無し」「軽くつや消しコート」「がっつり光沢コート→つや消し」という状態。
ちなみに一番下の「ウェーブ2003」は既に黄ばんでいる。
これが数年後に変化があるかどうかを調べてみることにする。


ついでに最近使ったデカールをこんな風に適当に貼っておいて、経年変化を見てみる事にしよう。
これも下の2つは既に黄ばんでいた。表面がつや消し、裏面はコート無し。

デカールのフィルムというのは樹脂製である。樹脂というものは時間とともに変色していくものであるわけだから、デカールフィルムは皆黄色くなるものなのだろうか。何はともあれ私は現在模型を作る際は、キット同梱デカールでも自作デカールでも、貼った後一旦光沢クリアを厚く吹いてコートし、その後につや消しを吹いて仕上げるようにしている。(つや消しは厚吹きすると白くなってしまうので、光沢で厚吹きしている。)

実験の結果は5年後くらいに書こうと思っている。


おまけ

  (写真引用元:【S40News!】タミヤのミリタリーモデルNo.1とは?
これはタミヤの1/35パンサータンクである。1962年に発売されたプラモデル史上でも有名なキットなのだが…これよく見るとデカールが激しく黄変してオレンジになっとるな。この写真がいつ頃撮影されたものかは分からないが、貼ってから少なくとも30年は経過した状態だろう。やはりデカールは黄色くなるものなのだな。

書いた日:2016年11月
加筆した日 2017年02月

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