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●あえて中2に向き合おう

「塗幕の厚み」という言葉は中2病と同じようなものなのではなかろうか。エアブラシを使い始めて1年目くらいの人間がよく使う言葉のような気がする。実際はよっぽど間抜けな塗り方をしない限り、塗幕の厚みの違いなんてそれほど気にはならないという事に気付くだろう。むしろ厚く塗る方が逆に難しいのではないのかとさえ思う。

今回は童貞時代を思い出しながら、あえて「塗幕の厚み」というテーマを取り上げてみることにしよう。


●では本題

塗料をシンナーで薄める事にどういうメリットがあるのでしょうか?
メリットの1つは前回書いた「ミストの粒を小さくできるので、より平滑面が作れる」という事です。
その他に、これも前書いたけど、「超細吹きでもノズルが詰まらずに塗装できる」ってのもありますね。
あとは「塗膜をより薄くできる」ってのがあります。
今回はこの3番目の塗膜を薄く出来るってのについて考えてみましょう。

塗料を薄めると本当に塗膜を薄く出来るのだろうか?
答えから言うと、確かに塗膜を薄くしやすくなります。

塗料ってのは3つの物から出来てます。顔料(or染料)、樹脂、溶剤(シンナー)の3つですね。
溶剤のシンナーってのはパーツに色を付けるには要らないものです。揮発してやがて無くなる物だからね。
色を付ける…つまり塗膜を形成するのに必要なのは顔料と樹脂です。

塗料をシンナーで薄めるという行為は、単位体積あたりの溶剤の割合を増やし、顔料と樹脂の割合を減らす事になります。顔料と樹脂の割合を減らす事で「塗り過ぎ」「行き過ぎ」を防ぎやすくなります。

分かりやすく言うと、1秒間にブラシから塗料が10出るとしよう。
例えばパーツを赤色に塗るとして、パーツが真っ赤になるには顔料&樹脂が30必要だとします。
シンナー分がゼロで塗料の中身が100%顔料&樹脂だったと仮定するなら(シンナー分ゼロだとカチカチに固まってるけどあくまで仮定)、ベストな塗膜の厚さはブラシで3秒ジャスト吹いた時になります。5秒吹いちゃったら顔料&樹脂が50になってしまうので、20だけ余計な塗膜を作ってしまう事になります。

(顔料&樹脂):(シンナー)=50:50に希釈したとすると、
1秒間にブラシから塗料が10出るとするなら、顔料&樹脂は1秒間に5出る事になります。
真っ赤になるのに必要な顔料&樹脂が30とするなら、理想の吹きつけ時間は6秒。仮に2秒オーバーして8秒吹いたとしても余剰塗膜は40-30=10しかありません。
(顔料&樹脂):(シンナー)=25:75なら、10:90なら、より余剰塗膜を作りにくくなります。

よって、塗料を薄めれば薄める程、塗膜を薄くしやすくなる という結論になりますね。
あくまで、「しやすくなる」というだけなんで、気をつけましょう。薄めた分だけタレやすくなるし、色が乗るのに時間がかかるし、シンナー買うのに金もかかるというわけなので、決して良いことばかりではありません。

という事で、今回は塗膜について書いたんですが、最初に書いたとおり私としては塗膜の厚さなんてそれほどこだわる必要は無いと思っております。

書いた日:2010年6月

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